米津玄師さんの【STRAY SHEEP】が2020年8月5日にリリースされました。
収録曲は、どれも聴いたことのあるものが多くMVもあります。
その中で、MVもなくあまり話題になってないのですが、
私の中では、大注目曲が「優しい人」です。
車移動の時は、リピートし聴くほどなのです。
そして、心締め付けられます。
あざとさとは・・・
最近「あざとい」という言葉をよく耳にします。
おわかりだと思いますが、
広辞苑によれば
「思慮が浅い。小利口である」「押しが強くて、やり方が露骨で抜け目がない」と定義されています。
あまりいい意味では、ないですね。
使う時も「あの子あざといよね」とわりと女性が女性に向けて使うことが多いのではないでしょうか。
最近の「あざとい女」のアイコンとして、アナウンサーで女優の田中みな実さんを思い浮かべた方も多いのではないでしょうか。
しかし、本当の彼女は「世間が求めるイメージ」を体現して提供しようとするプロの方です。
密着取材の中で一生懸命な姿を見て、エネルギッシュな生き方に感銘しました。
しかし、身近な世界ではなかなかあざとく生きてる方がいます。
世の中のいたいけな女子は、悔しい思いをしているのではないでしょうか。
【STRAY SHEEP】
とにかく、ヒット曲が詰め込まれています。
ご存じの曲が多く、この一枚で米津ファンならずとも楽しめるものです。
「優しい人」にみるあざとさ
このアルバムの中で7番目に収録されている「優しい人」に大注目しています。
何度もリピートして聴いて、時に涙が流れます。
公式MVがないのですが、歌詞付きでていねいに歌われたものを見つけました。
https://www.uta-net.com/movie/288879/
「優しい人」歌詞 気の毒に生まれて 汚されるあの子を あなたは「綺麗だ」と言った 傍らで眺める私の瞳には とても醜く映った 噎せ返る温室の無邪気な気晴らしに 付け入られる か弱い子 持て余す幸せ使い分ける道徳 憐れみをそっと隠した 頭を撫でて ただ「いい子だ」って言って あの子へ向けるその目で見つめて あなたみたいに優しく 生きられたならよかったな 周りには愛されず 笑われる姿を 窓越しに安心していた ババ抜きであぶれて 取り残されるのが 私じゃなくてよかった 強く叩いて 「悪い子だ」って叱って あの子と違う私を治して あなたみたいに優しく 生きられたならよかったな 優しくなりたい 正しくなりたい 綺麗になりたい あなたみたいに Source: https://www.lyrical-nonsense.com/lyrics/kenshi-yonezu/yasashii-hito/
この曲の中には、三人の登場人物が出てきます。
彼 あの子 私
役割と状況が歌詞からわかります。
彼(優しい人)…あなたは「綺麗だ」と言った
あの子(疎外されている人)…気の毒に生まれて 汚されるあの子を
噎せ返る温室の無邪気な気晴らしに
付け入られる か弱い子
周りには愛されず 笑われる姿
ババ抜きであぶれて 取り残される
私(傍観者)…傍らで眺める私の瞳には とても醜く映った
持て余す幸せ使い分ける道徳
憐れみをそっと隠した
周りには愛されず 笑われる姿を
窓越しに安心していた
ババ抜きであぶれて 取り残されるのが
私じゃなくてよかった
正に、わかっていて傍観している「私」こそが、あざとい人間なのです。
自分は、安全地帯にいて「気の毒な子」を
「私でなくてよかった」と胸をなでおろしているのです。
学校や社会の中でそんな場面はありませんか?
傍観者になったことはありませんか?
「優しい人」から感じる哀しさ
ところがあざとく生きている「私」は、その自覚があるので
同時に哀しくもあります。
このままでいいとは思ってないのです。
たとえば
と自分を治してほしい。叱ってほしい。
そして
あなたみたいに優しく
生きられたならよかったな
ここは、強調され2回続きますよ。
この願望、優しく生きたい。
誰だってそうです。
しめは、
あなたってどこにいるんでしょうか。
人間生きていると
汚れて、ずるくて、きたなくて、欲深くて…
とてもきれいごとでは生きていけません。私もそうです。
高校生の娘がいるんですけど
先日、友達に遊ぶ約束を破られたといってました。
そして「むかつくから、仕返しに同じバスに乗っていたけど、一本遅らせようかぁ」
と、言うので
「嫌なことされたら、同じことしてはダメ」
と言うと
「そんなきれい事だけでは、気が済まない!」
とかなり怒ってました。
近頃人気の『鬼滅の刃』のアニメがありますが、進研ゼミ小学講座が子どもに聞いた「あこがれる人は?」のアンケートでは、10人中7人にその登場人物の名前がありました。
その理由は、それぞれのキャラクターの特性で「仲間思い」「ヘタレでもやるときはやる」「礼儀正しい」などがあげられます。
きれいごとのオンパレードですね。
このことを話して
「ほんとは、みんなきれいごとが好きなんじゃないの」と言うと
「そうだね、きれい事目指さないとね(笑)」と言ってました。
そうありたいけど出来ないこと、でもそうありたい!
だから、この歌には心の矛盾を感じ締め付けられるように感じるのではないでしょうか。
最後に
「あなた」って、あざといけれど自分の在りたい姿です。