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「頑張らなくていい」は本当か?『ケーキの切れない非行少年たち』『どうしても頑張れない人たち』宮口幸治 著より

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f:id:minminroom9:20220107024117p:plain お子さんやまわりの方が悩んだり躓いたりしたとき、「頑張らなくてもいい」「そのままでいい」と声掛けしたことはありませんか。

とても頑張ってこれ以上頑張れないというときには、温かい声掛けになりますね。

しかし、それはどんな時でも温かく優しいものなのでしょうか。

みんなと同じようになりたい

もっと自分の力を伸ばしたい

と、思うお子さん、大人は多いのではないでしょうか。

 

『ケーキの切れない非行少年たち』宮口 幸治 著

 

著者の宮口幸治氏は、児童精神科医で多くの非行少年たちと出会う中で、「反省以前の子ども」が沢山いるという事実に気づく。少年院には、認知力が弱く、「ケーキを等分に切る」ことすら出来ない非行少年が大勢いたが、問題の根深さは普通の学校でも同じなのだ。人口の十数%いるとされる「境界知能」の人々に焦点を当て、困っている彼らを学校・社会生活で困らないように導く超実践的なメソッドを公開する。 引用 新潮社

出会った子供たち

 

私が、小学校の教員をしていた当時、学力でどうしても個別指導の必要な児童が一定数いました。

なぜ、わからないのか。いろいろ手を尽くしてもなかなか理解が遅い児童。

せっかく、ここまでできるようになったのにすぐ忘れてしまう。

また、席につけない。感情の起伏が大きく切り替えに時間がかかる。

自分の気持ちをなかなか言葉にできず、暴力をふるってしまう。

校内では、何とか過ごせても校外では悪さをしてしまい、保護者の方が何度も謝罪に行っていた。

宿題が、思うようにできなくて家で暴れてしまう。

 

こんなお子さんと悩める保護者の方に何度も会ってきました。

特別支援教育が進むうちに

子ども自身の困り感、保護者の困り感がある場合、

校内の特別支援教育の担当の先生と話し合いながら保護者の方にも相談をしました。

そして、関係機関と協力しながら少しでも困り感が少なくなるように一緒に考えていきます。

 

ここで考えていきたいのが、当人たちはそのままでいいと思っているかということです。

まわりの友達になじめず、どうしてもわからない自分のことがわかっている自分にイライラしているお子さんをたくさん見てきました。

 

みんな今より伸びようとしている

 

小学校の担任は、全教科受け持ち(専科指導の先生がいるところも増えてきました)一日中、児童と接します。

また、その児童の家庭生活を垣間見て、相談、指導につなげていきます。

学級経営の力が試されるところだとも思っています。なぜなら、信頼を得ないと指導に結びつかないからです。

私が、憧れる同僚がいました。彼女は、高学年を担任して児童も先生も生き生きしていました。

授業も抜群に上手く、引き出しの多い先生でした。

ある日、そのクラスの児童に声をかけて

「A先生と頑張ってるね」と言うと

その児童は、

「はい、A先生は、私たちを磨いてくれます」と答えたのです。

そう、磨くということはその子その子のいいところを伸ばし、今のその子の力を伸ばすということなのです。

高学年の児童と担任との関係は難しいところがあります。

あまり仲良くなりすぎて友達になってしまうと、指導が入らなくなるし、厳しく接しすぎると距離が遠くなり本音を話してくれなくなります。

絶妙な距離感が、担任に問われるのですが、A先生はそこも上手にこなされてたので、お互いが生き生きしていたのだと思います。

磨いてほしい

今より伸びたい

この願いは、どの子にもあるのだと思います。

ところが、まわりの子との差があり、話が合わない、同じ速さでできない、だからつまらない。

そこで、まわりの大人が「大丈夫だよ」「頑張らなくてもいいんだよ」と言えば、頑張らなくてもいいことを覚えてしまします。

必要なのは、その子にあった支援であり、頑張れる耐力を身に付けさせることだと思っています。

みんなと一緒に成長したい子に「頑張らなくていい」は失礼なのです。

そして、本文にも書いてありますが「頑張らなくていい」は、必死で頑張ってそれ以上できない子に向けた言葉なのです。

『どうしても頑張れない人たち』

コミック版も出ているようです。