クリープハイプ新譜「夜にしがみついて、朝に溶かして」は
第164回芥川賞候補の尾崎世界観率いる4人組ロックバンドの約3年ぶりとなる6thアルバムです。
クリープハイプで初めて聞いた曲
クリープハイプというバンドを最近まで知りませんでした。
ところが、初めて聴いた曲「HE IS MINE]でガツンとやられました。
ギターのかっこよさから始まる高揚感
Vo.の尾崎世界観の投げ出したような歌い方
愛、愛、愛、愛、愛してない訳 無いけどさ
愛、愛、愛、愛、愛してない訳 無いけどさ
と、たたみかけ
今度会ったら何をしようか
今度会ったらキスをしよう
今度会ったら何をしようか今度会ったら しよう
最後は、大合唱で会場が一体感
この冷めてるけど、熱い感じがすごくいいんです。
「身も蓋もない水槽」この気持ちある
バイト先のクソが バイト先のクソが
「バイト先のクソが」の7回の繰り返し
帰りの電車の中かもしれないけど、多分疲れてる。
虚無感たっぷりの電車の中の風景の一つ一つ。
おまけにバイト先で不条理をかみしめてる。
そんなことあるよね。
速いテンポの曲に乗って胸が痛くなります。
でも、畜生まだやれるぞって気になります。
尾崎世界観氏の詩は、どこか冷めてるような達観してるような…
でも、腐ってない
いや、愚痴ってるけど負けてないというか
そんなところが深く沁みます。
「夜にしがみついて、朝に溶かして」のリリース
表題作は、「ナイトオンザプラネット」という曲なんですけど。
ジム・ジャームッシュ監督の映画『ナイト・オン・ザ・プラネット』にまつわる曲ですね。
私もずいぶん前に観たことがあるので、その時のことが思い出されます。
最高に音楽や映画の趣味の合う友達がいて、紹介されました。
ジム・ジャームッシュはいい!
って言われて観たのがその一本です。
LA,NY,パリ、ローマ、ヘルシンキで同じ時間に、タクシードライバーと乗客が織りなすシニカルなドラマです。
クリープハイプの歌詞にも出てきてるけど、ウィノナ・ライダー。
「ベティ・ブルー」(サントラもいい)のベアトリス・ダルという大好きな女優さんが出てる思い出深い映画なんです。
この曲では、この映画にまつわる昔の恋の話です。
でも、今観るとあの時となんか違った。
そう、いろんな意味で大人になったんだね。
と少々、切ない。
「夜にしがみついて、朝に溶かして」という日は、ありませんか。
何だか、名前のない不安感や孤独感に押しつぶされそうな夜。
そんな夜の暗がりにしがみついて、どうにもやるせないけど
朝になったら、やっぱり起きてその日が始まる。
このフレーズだけでも頭の中でリフレインされます。
こんな日もあったし、今だってある。
収録曲
- 料理
- ポリコ
- 二人の間
- 四季
- 愛す
- しょうもな
- 一生に一度愛してるよ
- ニガツノナミダ
- ナイトオンザプラネット
- しらす
- なんか出てきちゃった
- キケンナアソビ
- モノマネ
- 幽霊失格
- こんなに悲しいのに腹が鳴る
このアルバムのどこかにあなたにぴったりのフレーズがあるかもしれません。