教員のみなさん、学級通信を発行していますか?
私は、筆不精、子どもの事を載せるとき考えすぎ、仕事に追われて面倒くさい…などの理由をつけてひと月に1,2回しか発行していませんでした。
内容も当たりさわりのないもので、「とりあえず出してる」程度でした。
そんな私でも、あることをきっかけに、戦略的にクラスづくりをするために学級通信を発行するようになりました。
それは、転任先のクラスがかつて経験したことのない荒れたクラスだったからです。
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1 どれだけ荒れていたか
〇 児童の様子
4月に赴任した学校は、以前勤めたことのある学校でした。
ですが、数年すると管理職もかわり、周りの先生もずいぶん変わっていました。
担任することになったのは、4年生で3クラス、一クラス30人から35人の学年でした。
どのクラスを持つかという話し合いになって、1組は特別支援学級在籍の子どもが一人いるクラス、
2組は特別な支援のいらないクラス、
3組は、少々トラブルがあったクラスということでした。
1組には特別支援が必要な子どもさんがいるので、前年度からいらした先生が持つことになりました。
2組は、私と一緒に転任してきた先生で私より若いので、そのクラスを持つことになりました。
そして、3組は、私です。
それまである程度経験があるので、ぶち上げたことはありませんでした。
ところが、そのクラスの様子は授業の前半は静かに聞いてくれますが、一時間持たないのです。
まず、ケンカが起こり、イライラした子が喧騒に反応し他の子に八つ当たりする。
そこで、二つ三つのケンカが起こるわけです。つかみあいのケンカです(泣)
私が対応するのですが、二つ三つのケンカを一人で対応するのにも限界があります。
ケンカした子の話を聞いている間、周りの子は待てないのでざわざわして落ち着かない、クスクス笑い声が聞こえる。
想像できますか?
それが、四月の事です。授業が成り立ちません。
しかし、最初から最後まで授業が成り立った日がありました。
なんと! 授業参観の日です。
親には、いいところを見せたいのですね。そして、親も今までいいところしか見ていないということです。
なかなか、手ごわいです。
普段は、立ち歩き、遅刻、休み時間が終わっても帰ってこないなどなどが続いていくわけです。
〇 保護者の様子
前に書きましたが、授業参観では「おりこうさん」に授業を受けているので、自分の子どもは、ちゃんとできているという認識です。
しかし、前学年からの子ども同士のトラブルが根っこから解決しないままになっているので、家庭訪問では不満を聞きました。
また、他の子やその親に対するバッシングも聞きました。
つまり、学校に対して担任に対しての不信感もりもりです。
おまけに、転任してきたばかりのどこの馬の骨かもわからない担任に対して、不安と不信がこれまたもりもりでして、肌で感じました。
まさに、1からのスタートではなく、マイナスからのスタートです。
2 学級懇談会で絶望を味わった
6月の学級懇談会で、「学級通信でクラスの状況を書いてください。良いことも悪いことも実名で」という要望がでました。
びっくりしましたが、基本的な考えをお話しました。
ということをお話しました。
その後、学校アンケートがありましたが、「担任がかくしている」と書かれました。
わかってくださる方もいて、「すべて公開することは、どうかと思います」という連絡帳をいただきました。
うれしかったです!
しかし、そんな考えをお持ちの方も学級懇談会では発言はしてくれません。というかできません。
ご自身の立ち位置を明白にすることは、勇気がいります。
それに、これから先も攻撃的な方とも同じ学年なので付き合っていかなくてはいけません。
その気持ちは、よくわかります。
だから、私が全部引き受けて、保護者と共に学級づくりをしていかなければいけないと、覚悟ができました。
3 子どもの様子を知らせ、保護者を巻き込む学級通信の発行
〇 担任(私)が大事にしていることを発信
小学校の担任は、宿題の出し方、丸付けの仕方、朝の会帰りの会の仕方、給食指導、係の決め方など細かいことに至るまで担任の特徴が出ます。
さらに、独自に取り組みたいことなどもあります。
当たり前のことですが、自分がしたいこと、それは何の目的でしているかを言語化して説明するのです。
つまり、自分が大事にしていることをしっかり発信していきました。
例えば
《宿題の答え合わせは子ども同士でする》
簡単な計算問題や漢字の読みは朝のうちに全員で答え合わせをします。
回収して、その他の丸付けは担任がします。書き直しまでしてその日のうちに返却します。
(メリット)
朝から全員声を出せる。
提出の確認ができる
時間短縮できるので、その日のうちに返却でき学力定着につながる。
だから、この方法でやってます。
少しして、
このように子どもが変わってきましたよ。
宿題提出率が上がってきましたよ。
朝から声を出すので、その後授業中の発表が増えました。
と、いうように
説明⇒理由⇒結果、経過報告
を継続的にしていきました。
〇 子どもを育てる保護者集団の在り方
行事の後などに保護者と話すことや連絡帳で感想をいただくことがあります。
その時にわが子の成長を喜んでいただけるのはうれしいです。
さらに、一言でもほかの子をほめてくださってたら、その事を学級通信に載せました。
なぜなら、自分の子だけ良くてもこれからの成長は望めませんから。
だから、他の子に目を向けて喜んでいる方がいるこのクラスは、素晴らしいクラスなんだと。
まあ、そういうスタンスで事あるごとに載せていきました。
もちろん、名前は出しません。
4 変わったこと
学級通信を通して、担任(私)の考えややっていることに賛同し応援してくれる方が増えました。
これは、心強いです。
もちろん、学級懇談会で声高に擁護してくれる方はいません。それは期待してませんし、むしろしないでください。
なぜなら、学校に不信感がある方は強力ですから。
しかし、そういう方も表立って以前のように私をつるし上げることはありませんでした。
空気の流れが変わってきたのを肌で感じました。
ということは、自分のやりたいことがやりたいようにできてきました。
荒れていた子どもにも、一人一人その課題を見つけ、それぞれの親御さんにアプローチできるようになりました。
5 まとめ
「学級通信を戦略的に!」というのは、少し激しい言い方ですね(笑)
しかし、担任の考えをしっかり発信していくことは、学級運営をやりやすくします。
保護者も自分のクラスの様子が分かり、担任が何を目指しているのかを知ることができます。
そうすると、担任だけでなく、まわりの子どもへの理解が深まり、温かい気持ちで接してくれるようになります。
私たち担任は、その子の人生にとって一年か二年しか関わることはできません。
しかし、その後も保護者の関係、子ども同士の関係は続いていきます。
だからこそ、進むべき方向を指し示し生き生きと住みやすい集団作りのお手伝いができれば何よりだと考えます。
続けることが大切なので、自分に無理のないように
週1回、B4一枚に渾身の内容を盛り込んで、続けていきました。
週1回の発行は、子どもの様子や担任の取り組みを書くのに、そんなに負担はありませんでした。
最後まで読んでくださってありがとうございます。
四月から学校にお勤めの方、すでに経験があり心機一転新しい学年を持たれる方。
ご苦労があるかと思いますが、キラッと光る宝石のような経験ができるのも教員ならではです。
笑顔いっぱいの先生に、人は集まってきますよ。
学級通信を、単なる連絡のためのツールにするのではもったいないです。
保護者と担任が同じ目的(子どもを育てる)のために情報を共有するツールにしていったら、温かい空間が作れます。